坐久さんの同人音楽万歳

主に同人音楽イベントで入手した音源について徒然なるままに語ります。稀に同人以外も語ります。的外れだったら許してね。

Melancholizer vol.4(V.A.)

1人メロデスプロジェクト"Asukun"を主催とするエクストリームメタルコンピCD第4弾

 

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国産のエクストリームメタルシーンには今どのようなアーティスト達が犇めき合い己の鋼を鍛えているのか、Melancholizerシリーズを聴けばその一端が垣間見えるだろう。 

 

このアルバムは複数のバンドないしプロジェクトから曲を募ったコンピレーションアルバムである。中には同人音楽か?という声もあるかもしれない。しかし、このブログで取り上げる音源としてはこのブログの方向性を述べる際にこう述べている。

したがってこのブログでやることはTwitterでやってきた同人音楽音源のレビューの延長になるが、もう少し自分なりの考えを纏めた上で書きたいので更新はやや鮮度が落ちると思う。また、過去にTwitterでレビューした音源や何年も前に配布された音源についても今の考えがあったりするので時を置いて改めてレビューしたいと思う。
逆に、メジャーから出される音源、同人外の有名どころはレビューしないと思う(同人音楽イベントで入手した音源は、レビューすることが多いだろうが…)。正直筆者の音楽的知識はお世辞にも豊かとは言い難く、乏しい語彙で書かれた感想よりは余程参考になるレビューの出来る強者がネットにはわんさかいる。

 

zakureijidoujin.hatenablog.com

正直言葉足らずなのでもう少し述べると、別にレビュー対象を同人音楽に限定するつもりは無い。そもそも筆者が主に取り上げるM3では実に多種多様なサークル参加者がおり、それが魅力だと思っているので、そこに参加した音源や他イベントでの配布を前提とされた音源は積極的にレビューしたい。どうかご理解願いたい。

 

zakureijidoujin.hatenablog.com

 

さて、言い訳に尺を取り過ぎてしまったので唐突ではあるが本編に入ってしまおう。

 

Melancholizer vol.4

01 Bojoh (Asukun)

02 Chaosmaster (Bloodeyed Sunset)

03 Entombed Envy (Clayman)

04 旋律物語 (yabaokaya)

05 燦然と煌めく赤い未来 (Mixing within the Brain)

06 Seth of Lust (めたらび)

 

01 Bojoh

主催であるAsukunの曲。

元々歌謡曲然としたクサいリードギターの旋律を組み立てて哀愁のメロデスを作り上げるスタイルが持ち味の彼だが、今回の曲はホラーテイストをテーマとしておりスラッシーなリズムで爆走するバンドサウンドに不穏な不協和音や妖しげなスケールを奏でるピアノやシンセが曲想に彩りを与えている。2’20辺りからのソロは流石の美旋律である。

 

02 Chaosmaster

曲はBloodeyed Sunsetによる。

重くパワフルなリフとコーラス部、ブリッジ部のリードギターワークによる慟哭が魅力の8ビートを主体としたメロデス曲。途中入るクリーンアルペジオが泣ける。4分、8分、16分どれをとってもバスドラムがずっしりと響き心地良い。

 

03 Entombed Envy

曲はClaymanによる。

何処かネオクラ、様式美的なメインフレーズが印象的なメロデス曲。このフレーズは何度も繰り返される他、ソロの出だしにも使われており自信の程が伺える。また、グロウルが大変美しい。終始メタルサウンドのみでデスメタルの攻撃性と様式美的な流麗さを両立させるメロデスのセンスが良い。

 

04 旋律物語

曲はAsukunとスプリットも出したyabaokayaによる。

終始クサメロを奏で続ける慟哭のリードギターと、所々「音を抜く」変則的なリズムのリフを特徴としたメロデス曲。スプリットでも感じたことだが、このリフをこの纏まりで演奏できるところにアンサンブルの力がある。

 

05 燦然と煌めく赤い未来

曲はMixing within the Brainによる。

同タイミングで出したフルアルバムをレビューさせてもらったが、そこで言及した緩急と無音、ドスの効いたデスボイスはここでも光っている。ブラストビートとビートダウンに容赦の無く凶悪である。

 

06 Seth of Lust

曲はめたらびによる。

不気味なリバーブの効いたツインリードギターから幕を開ける、邪悪なトレモロリフが特徴的なスラッシーなブラックメタルといった塩梅の曲。ソロも泣きというよりはスラッシュメタル然とした不穏な速弾きフレーズを奏でる。

 

このシリーズを聴くたびに思うことだが、国産のエクストリームメタルシーンには実に様々なバンドが各々の美学に基づいて楽曲を作り上げており、独自のクリエイティビティを構築するにせよ硬派な音を追求するにせよそれぞれが特徴的で、インディーズシーンの面白さは深堀すればするほど嵌って行くものがあるのだろう。

そんな中で自身も確固たる音楽性と柔軟な発想を持ちながらこれほどのアーティストを毎度集めてこられる明日くん(Asukun)には素直に尊敬の念を抱いている。

我が国のメタルシーンの一層の発展を願い、今回参加された皆さんの未来に大いなる祝福があらんことを。