坐久さんの同人音楽万歳

主に同人音楽イベントで入手した音源について徒然なるままに語ります。稀に同人以外も語ります。的外れだったら許してね。

同人音楽即売会・M3の魅力

世間では大陸に現れた風邪の新型ウィルスにより大小様々なイベントが割を食い自粛を選択し、すっかり娯楽の活気が収縮してしまい経済の失速が深刻に懸念されている。

そんな中我々同人音楽ファンとしては、東京五輪の影響で例年に比べ開催時期が3/1に繰り上がっていた国内最大の同人音楽即売会・M3の開催が危ぶまれ、よもや中止かと騒がれ戦々恐々としたことが記憶に新しいと思われる(主語がデカくて申し訳ない)。

結果としてM3は日本で流行の兆しが見えた早い段階から今回の参加を見送った参加者に対する次回参加の優遇を発表するなどの措置を行い、イベントの規模を大幅に縮小し、政府からの要請にも適った形で開催されることとなった。他にも展示場の換気、消毒液の設置、トイレの石鹸残量の確認等、感染症対策に尽力したM3準備会やこれに協力した参加者の皆様には最大限の敬意を払い、賛辞を贈りたい。

 

とは言え、大量の欠席者を出し、一般参加者も疎らとなったM3はやはり一抹の寂しさを覚えるものだった。次回は例年の活気を取り戻す事を切に願って止まない。

 

そんなこんなで何とか開催されたM3だが、概要を述べると毎年春と秋の2回、東京流通センターの展示場を貸し切って開催され、延べ1万人程が参加する「音系同人サークル」の即売会イベントである。実はその歴史は思いの外長く、第1回の開催は1998年に遡るらしい。

同人音楽出身の著名アーティストとしては進撃の巨人の主題歌やコンセプトアルバムが高い評価を得たRevo氏率いるSound Horizonがまず挙げられるであろうが、そのSound Horizonが"Chronicle"を出したのが2001年なので、それ以前からこのイベントは存在し、各サークルが思い思いの音源を持ち寄って配布していたかと思うと非常に感慨深いものがある。先に挙げたSound Horizonもまた、現在では入手困難となり取引価格が高騰している音源"Thanatos"を配布したりしていたらしい。

 

 

さて、そんなM3の歴史に比べれば筆者などは新参の若輩者も甚だしいのだが、恐縮しながらその魅力をまとめると、「音楽イベントとオタクイベントのハイブリット感」にあると思う。

大小様々なサークルが各々のスペースに集結し、多種多様なジャンルの音源を配布しながらリスナーと交流するのは間違いなくコミケ等オタク系同人誌即売会の様相である。

サークル参加者もPCのCD・DVDドライブで手作りしたCDや自前のデザインを業者に依頼してコピーしてもらったCDを配布する筆者の様な駆け出しの初心者から、ライブハウス等で活動しながら音源をEPやアルバムにして持ってくるバンドミュージシャン、Dragon Guardian、岸田教団、Unlucky Morpheusといったビッグネーム、畑亜貴氏や岩垂徳行氏といったガチのプロ作曲家まで幅広い。配布される音源も東方等既存曲のアレンジにせよオリジナルにせよ実に多種多様な音楽ジャンルのものが東京流通センターの3つの展示スペースに会している。中にはそんな同人音楽シーンにおけるメタルの音源レビューを纏めた冊子やケルトにおける音楽理論について纏めた冊子など、音源以外の方向性で音楽にアプローチするサークルもあれば、音楽ではなくドラマCDという方向で自作を発表するサークルもある。規模は本家よりも見劣りするものの、その様子は正に「音楽のコミケ」と言って差し支えないように思える。

一方で映像スペースを訪れれば各サークルの配布音源のPR映像や自作のMV等が流れるし、フリースペースに行けば各サークルが各々の楽器を持ち寄り演奏を行っている。また、企業スペースではDAWプラグインの発表や販売が行われている。そこを見れば今自分が参加しているイベントは間違いなく音楽のイベントなのだと納得できるだろう。

 

筆者の拙い筆力では今一その魅力について十分にお伝えする事はままならないかもしれないが、音楽を愛する者としては一度訪れてみる価値は十分あるということだけは是非とも強調しておきたい。

まだ見ぬ魅力的なアーティストとの出会いもあれば、著名なアーティストと思わぬ邂逅を果たすこともある。筆者も親愛なるフォロワーに多く出会ったりひぐらしのなく頃にで有名なヒーリング歌手、島みやえい子氏にサインを頂くなど多くの貴重な体験を得た。

 

昨今ではM3以外にも地方で開催される同人音楽イベントやオリジナル限定の同人音楽イベントが開催されるなど、同人音楽の根は着実に広がりつつあるのだろうか。機会があれば、こちらにも顔を出してみたいと思う。

 

M3は毎年2回、大体4月と10月の最終日曜日に東京流通センターにて11:00~15:30の間開催される。参加するには予め1500円のカタログパンフレットを購入し、会場入場時に提示する必要がある。カタログパンフレットは現状当日の会場でも十分入手可能だが、今後当日配布分は品薄にならないとも限らないのでやはり事前に入手しておくことが望ましいだろう。

また、自作音楽を配布したい人は思い切ってサークル参加してみてはいかがだろうか。昨今ではAI歌唱の発展は目覚ましく、歌唱合成ソフトNEUTRINOを用いた"AIきりたん"のクオリティは音楽関係者を驚愕させており、自分で歌えずともそういう選択肢も十分にあり得るだろう。

 

M3のHPトップをリンクで貼っておくので、カタログパンフレット入手方法やサークル参加方法はそちらで詳細参照願いたい。御興味があれば是非、参加してみて欲しい。

 

www.m3net.jp